今日の一枚 8)歌川広重「吾嬬杜夜雨」 (Kenwan編)

jpegOutput.jpeg歌川広重作 江戸近郊八景の内「吾嬬の杜夜雨」 1838年 27cm x 39cm

歌川広重は葛飾北斎と並ぶ浮世絵風景画の巨匠だ。
彼の「東海道五十三次」はつとに有名だけれど、若い頃の私には、北斎の「富嶽三十六景」などに較べると通俗的に思えて、この人の風景の良さは、長らく分からなかった。
ところが、ウィーンに住むようになって数年経った頃、いつしかジンワリと広重の風景画の良さが私の心に沁み込んで来たのだ。
彼ほど雨や雪の風景を数多く描いた画家はいないのではないか?
それは日本という場所がここヨーロッパに比較すると、はるかに湿度が高く、風景そのものが雨や雪と切っても切り離せない風土だからという事もあろうと思う。
ご覧いただいている絵は、在りし日の東京都墨田区立花の吾嬬神社の風景で、色彩的には誠に地味な絵だけれど、夜の雨の中を歩む人達の物寂しい情感を見事に表していると思う。
この絵を初めて見た時、私は「雨の匂い」を嗅いだような気がして、得も言えぬ懐かしさを感じてしまった。
事ほどさように、私達日本人の感性は湿気と密接に結びついていて、日本を離れていると、その事を痛いほど感じる時がある。



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