今日の一枚12) 名所江戸百景の内「愛宕下薮小路」

100_views_edo_112.jpg初代広重 名所江戸百景の内「愛宕下薮小路」(現在の西新橋一丁目と虎ノ門一丁目の間の通り)現在、ウィーンの我が家の窓の外はこの絵のような湿った重たい雪が森々と降っている。

昨日の記事で、私は名所江戸百景の画集を二冊持っていると書いた。
一冊は昨日ご紹介したが、もう一冊の方がこれ。


今から10年ほど前にウィーンの本屋にあった英語の原書を私は購入したのだが、
ご覧のように岩波書店が解説を和訳した同じ本を2004年に出版していて、Amazonで購入可能である。
全百十八枚の図版が初摺りで揃った「名所江戸百景」は、すでに世界中に数えるほどしかないそうで、ニューヨークのブルックリン美術館が所蔵しているのは、純粋な初摺りの完本ではなく、118枚のうち3枚がごく初期の後摺りだそうだが、摺りや保存の状態が非常に良く、ほぼ初摺りの完本に準ずる重要なもののようだ。
100_views_edo_003.jpg初代広重 名所江戸百景の内「山下町日比谷外さくら田」(現在の中央区立泰明小学校付近から北西を望む)

上の図版の右端をご覧いただきたい。
「1930年の10月14日、Miss Anna Ferris によって寄贈」と、この図版の右脇の余白に英語で鉛筆書きされているが、それ以外にこの一揃い、表紙も含めて119枚のセットについて一切記録がなく、Miss Anna Ferris についても全く手がかりがないそうだ。
寄贈の後、長らく美術館の戸棚に死蔵されていたが、1979年にその存在が再発見され、以来この美術館の重要なコレクションの一つとなった。

ご紹介したこの本が何よりも有難いのは、図版が実物大だというところだ。
しかも、出版社はアメリカなのに、図版は日本の凸版印刷による極めて精緻な印刷で、ツルツルしたのではない、つや消しのアート紙を使っているところが心憎い。
一つ一つの図版には、コロンビア大学の日本学の教授ヘンリー・D・スミス二世による解説がついていて、これがまた素晴らしい。

ここしばらく私はこの大きな本と、少し小さめの昨日紹介した本、それに英和辞典の三冊を持って、広重の江戸の町を巡り歩くような気持ちで、読書の楽しみを満喫していたのであった。

ところで、一つ付け加えたいことがある。

ウィキペディアで「名所江戸百景」を検索していただくと、全118枚の図版が比較的大きな画像で閲覧できるが、これら全ては件のブルックリン美術館所蔵のものなのである。ぜひご覧いただきたい。

つづく



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